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ア 関心のある事柄について,簡単な語句や文を用いて即興で話すことができるようにする。

 この目標では,小学校の外国語科の「話すこと[発表]」の目標ア「日常生活に関する身近で簡単な事柄について,簡単な語句や基本的な表現を用いて話すことができるようにする」及びイ「自分のことについて,伝えようとする内容を整理した上で,簡単な語句や基本的な表現を用いて話すことができるようにする」を受け,「関心のある事柄」について,既習の語句や文を用いて即興で話すことができる力を身に付けさせることを示している。

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 ここでは,「発表」であるので,(3)の「やり取り」のように伝え合ったり述べ合ったりするなど双方向的な形での「話すこと」ではなく,聞き手に対して一方向で話して伝えることができるようにする。次のイ及びウも同様である。

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 この目標における「関心のある事柄」とは,「話すこと[やり取り]」アと同様,例えば,スポーツ,音楽,映画,テレビ番組,学校行事,休日の計画,日常の出来事など,身の回りのことで生徒が共通して関心をもっていることを意味している。

 また,「簡単な語句や文を用いて」とは,「読むこと」でも解説したとおり,小学校での学習やこれまでの経験の中で触れてきた語彙や表現を含め,中学校で扱う語句や文を用いることである。これは,次のイ及びウについても同様である。

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 小学校では「伝えようとする内容を整理した上で」話すのに対して,中学校では,「即興で」話すことができるようになることが求められる。

 したがって,事前に原稿を書いてそれを暗唱したりするのではなく,興味・関心のある事柄であれば,既習の知識や技能を生かしてその場で話せるようにする必要がある。

 即興で話す力については,一度の授業や言語活動で身に付くものではない。

 1年生から即興で話す活動に継続的に取り組ませることで,即興で話す力を高めていく必要がある。

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 ここでは,学習した語句や表現などに意味のある文脈の中で繰り返し触れることができるようにしながら,様々な話題についてその場で英語を話すことに慣れていくことが大切である。

 さらに,メモやキーワードを頼りにしながらであっても即興で発表すれば,多少の誤りやたどたどしさがあるのは当然であるという認識の下に,生徒が主体的に英語でコミュニケーションを図ろうとする態度を養う必要がある。

 
 

イ 日常的な話題について,事実や自分の考え,気持ちなどを整理し,簡単な語句や文を用いてまとまりのある内容を話すことができるようにする。

 この目標では,小学校の外国語科の「話すこと[発表]」の目標ウ「身近で簡単な事柄について,伝えようとする内容を整理した上で,自分の考えや気持ちなどを,簡単な語句や基本的な表現を用いて話すことができるようにする」を受け,「日常的な話題」について,事実や生徒自身の考え,気持ちなどを整理し,まとまりのある内容として発表することができる力を身に付けさせることを示している。

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 この目標での「日常的な話題」とは,「話すこと[やり取り]」イと同様,生徒の日々の生活に関わる話題のうち,生徒自身や家族に関すること,生徒の興味・関心の対象となることや社会生活で必要なことなどである。

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 事実や自分の考え,気持ちなどを「整理」するとは,話し手として伝えたい内容や順序,聞き手に分かりやすい展開や構成などを考えたり,事実と考えを分けて整理したりするなど,話す内容を大まかな流れにしてコミュニケーションの見通しを立てることを意味している。

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 また,「まとまりのある内容を話す」とは,改訂前の「話すこと」の言語活動(オ)「与えられたテーマについて簡単なスピーチをすること」と関連があり,例えば一つのテーマに沿った発表をしたり,内容に一貫性があるスピーチをしたりすることを意味している。

 小学校の目標にはない「まとまりのある内容」を話すことができるようにするという点が大切である。

 
 

ウ 社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことについて,考えたことや感じたこと,その理由などを,簡単な語句や文を用いて話すことができるようにする。

 この目標では,聞いたり読んだりしたことなどを基に,考えたことや感じたことなどを,その理由を加えて英語で話して伝えることができる力を身に付けさせることを示している。

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 小学校の外国語科では,「日常生活に関する身近で簡単な事柄」などを取り上げるが,中学校では,「関心のある事柄」から「日常的な話題」や「社会的な話題」へと広がっていく。

 そして,社会的な話題に対する自分なりの意見や感想を,理由や自分が学んだこと,経験したことの例示などとともに表現することが求められる。

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 「話すこと[やり取り]」ウと同様,この目標での「社会的な話題」とは,社会で起こっている出来事や問題に関わる話題のことであり,広く国内外で起こっている事象で,多様な考え方ができるものを取り上げる。

 具体的には,例えば人権問題やICTの普及などが考えられ,「聞いたり読んだりしたこと」とは,そうした話題に関する教師や生徒の発話,映像や音声の教材,ニュースや新聞記事,図表,ポスター,電子メールなど,様々な音声媒体や文字媒体による情報や考えなどを意味している。

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 また,考えたことや感じたこと,その理由などを「話す」とは,社会的な話題に関して聞いて分かった情報や,文章を読んで考えたり感じたりしたことなどを活用し,聞き手に話して伝えることを意味している。

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 中学校において,既習の表現などを駆使しながら,日本や世界の出来事や問題などの社会的な話題に関する生徒自身の考えや気持ちを理由などとともに話して伝える力を養うことは,やがて,高等学校において社会や世界,他者との関わりの中での幅広い話題について自分自身の立場や考えを適切に表現する力につながっていくものである。

 
 
 
 
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