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(ア) 日常的な話題について,自然な口調で話される英語を聞いて,話し手の意向を正確に把握する活動。

 この事項は,第2の1(1)「聞くこと」

ア「はっきりと話されれば,日常的な話題について,必要な情報を聞き取ることができるようにする」,

イ「はっきりと話されれば,日常的な話題について,話の概要を捉えることができるようにする」及び

ウ「はっきりと話されれば,社会的な話題について,短い説明の要点を捉えることができるようにする」

の全てに関連している。

 

 ここでは,「日常的な話題」についての発話を聞き,話し手の「意向」,すなわち伝えたいことや求めていることなどを正しく理解する活動を示している。

 小学校における学習で育成された「聞くこと」の力を更に伸ばし,自然な口調で話されても相手の言っていることが理解できるようにする必要がある。

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 「自然な口調」の英語とは,正しい強勢やイントネーション,区切りを伴って自然な速さで話されるなど,話し方が自然な英語のことである。ICTを利用したりネイティブ・スピーカーの協力を得たりして,なるべく自然な口調で話される音声に触れさせ,慣れさせることが大切である。

 生徒の状況に応じて音声の速度を変えることは理解させるための一つの方法ではあるが,教師自身が極端に遅く話すのではなく,初めからできるだけ自然な口調の英語を用いるように留意する。

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 また,生徒が「聞くこと」の力を身に付け,目標を達成するためには,授業の指導過程の中で,「聞くこと」を通して理解する活動を繰り返し行う必要がある。

 教師が,授業の最初に最近の出来事について生徒に話したり,ALTなどによる簡単なスピーチを聞かせたりする活動を頻繁に取り入れる。

 こうした活動を通して,自然な口調で話される英語を聞いて話し手の意向を正確に把握できるようになることを目指す。

 
 

(イ) 店や公共交通機関などで用いられる簡単なアナウンスなどから,自分が必要とする情報を聞き取る活動。

 この事項では,第2の1(1)「聞くこと」ア「はっきりと話されれば,日常的な話題について,必要な情報を聞き取ることができるようにする」に関連し,聞こえてくる情報全てに集中させるのではなく,自分が必要とする情報を聞き取る活動を示している。

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 日常生活では,目的をもって聞くことが多い。

 例えば,店や公共交通機関でアナウンスを聞く際,自分が必要とする情報を中心に聞き,何が述べられているか理解しようとする。

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 言語活動を行うに当たっては,聞く際の状況や目的を明示して,どういう情報が必要かを考えさせた上で,その部分に集中して聞き取る活動を行わせる。

 例えば,カメラなどの商品のコマーシャルが題材の場合,最初に聞く際には「どのような機能があるのか知りたい」,次に聞く際には「値段を知りたい」など,聞き手が置かれた状況の設定を行うことなどが考えられる。

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 なお,ここでは「自分が必要とする情報」,後述する(エ)では「概要や要点」など,「聞くこと」においては,目的に応じて様々な聞き取り方を指導することが大切である。

 
 

(ウ) 友達からの招待など,身近な事柄に関する簡単なメッセージを聞いて,その内容を把握し,適切に応答する活動。

 この事項では,第2の1(1)「聞くこと」ア「はっきりと話されれば,日常的な話題について,必要な情報を聞き取ることができるようにする」及びウ「はっきりと話されれば,社会的な話題について,短い説明の要点を捉えることができるようにする」に関連し,話し手からの質問や指示,依頼,提案などを聞いて,その内容や意図を正しく理解し,適切な応答を相手に返す活動を示している。

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 例えば,日常生活において,電話の留守電機能にあるメッセージを聞き,相手の伝えたいことを理解した上で,返事をするために電話をかけることがある。

 その際,相手の依頼などを承諾したり断ったり,内容を確認したり交渉したりしなければならないこともある。

 あるいは,
 部屋に入ってきた相手が
  “It's hot here.”
 と言ったことに対し,
  “I've just turned
    on the air conditioner.”
 と説明したり,
  “Shall I open the window?”
 と提案したり,
  “Oh, you are hot!”
 と言いながら
 窓を開ける動作に移したりする
 ことがある。

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 このように,依頼や提案などの話し手からの働き掛けに対する反応の仕方は,場面や状況,聞き手によって様々である。

 したがって,場面などの設定に工夫をしながら様々な活動を行わせ,どのような応答があり得るか考えさせることが大切である。

 また,単純に応答するだけでなく,相手の言ったことに対して確認したり交渉したりするなど,やり取りを伴う応答も指導する必要がある。

 
 

(エ) 友達や家族,学校生活などの日常的な話題や社会的な話題に関する会話や説明などを聞いて,概要や要点を把握する活動。また,その内容を英語で説明する活動。

 この事項では,
 第2の1(1)「聞くこと」

イ「はっきりと話されれば,日常的な話題について,話の概要を捉えることができるようにする」及び

ウ「はっきりと話されれば,社会的な話題について,短い説明の要点を捉えることができるようにする」

に関連し,日常的な話題や社会的な話題に関する会話や説明などを聞いて,全体的な内容を理解したり,大切な部分を正確に捉えたりするとともに,聞き取ったことについて友達と説明し合ったり,理解したことを基に意見交換を行ったりする活動を示している。

 聞いて理解することだけで終わらせず,聞いた内容をどのように話すことや書くことにつなげるのかが大切である。

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 「日常的な話題」としては,例えば,ある人物の生い立ちを聞き,そのあらましを把握し,主な出来事をほかの生徒に伝える,修学旅行先を考えるディスカッションを聞き,メモを基に各生徒が述べた場所とその理由をまとめて説明したりする,あるいは,「中学校生活で最も思い出に残っていること」や「中学生全員が部活動に入るべきか」などのテーマについて数人のスピーチを聞き,主な発話内容を整理して話したりする,といったことが考えられる。

 さらに,ラジオなどのはっきりと話される英語のニュースを聞いてその中の重要な情報を聞き取るといった,「社会的な話題」を扱うことも必要である。

 こうした活動においては,聞き取る際の状況や目的を明らかにし,聞き取った後でどのような活動を行うのかをあらかじめ説明しておくなどの工夫が必要である。

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 「概要や要点を把握」することの指導に当たっては,話の概要を捉える際にはどのようなことが話されているかを考えながら,話の要点を捉える際には話し手の最も伝えたいところはどこかなどを考えながら,会話や説明などを聞くように生徒にあらかじめ伝えておくようにする。

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 なお,この事項では,「理解した」とはどのような状態のことであるかを改めて示している。

 つまり,聞いた内容を話したり書いたりして説明することができる段階まで至ることを「理解した」状態であると考えることもできる。

 ただし,この事項はあくまでも「聞くこと」であるため,この活動での「話すこと」や「書くこと」においては,例えばひな形を与えたり,単語のみでの発話や筆記を許容したりするなど,「話すこと」や「書くこと」の活動に対するつまずきを極力軽減する配慮が必要である。

 
 
 
 
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