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(ア) 関心のある事柄について,その場で考えを整理して口頭で説明する活動。

 この事項では,第2の1(4)「話すこと[発表]」ア「関心のある事柄について,簡単な語句や文を用いて即興で話すことができるようにする」に関連し,学校行事や日常の出来事など生徒の共通の話題になっている事柄について,事前に原稿を用意したり発表練習をしたりすることなく,その場で伝えたい内容や考えなどをまとめて口頭で説明する活動を示している。

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 語彙や表現,文法などは,活用することで実際のコミュニケーションを図ることができるような知識として習得されるという視点から,学校での出来事や地域の行事,体験したことなど様々な事柄を「説明する」活動などを通して,それらを習得させていくことが大切である。

 例えば,文化祭を説明する際に,
“We have our School Cultural Festival in September.”や
“Our School Cultural Festival is held in September.”など,
学習した文法事項やその習熟の度合いによって様々な言い方が可能である。

 一度説明した後で,ペアやグループでよりよい説明の仕方や表現について振り返る機会を作ったり,ネイティブ・スピーカーの説明をモデルとして聞き,効果的な説明の仕方を確認したりした後で,類似した話題や事柄を取り上げ,再度口頭で説明する活動に取り組む機会を設けるなどすることも考えられる。

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 その際,「その場で考えを整理して口頭で説明する」という言語活動の特徴から,初めから正確さを求めたり,必要な表現を練習したりしてから行うのではなく,伝える内容に重点を置きながら,教師は生徒の多様な発話を促し,その様子を見て必要に応じて適切な語彙や表現などを助言するという視点が大切である。

 また,実物や写真,タブレット端末などを補助として用いて発表するなどの工夫をするとともに,つなぎ言葉や言い直し,身振り手振りなども用いて,生徒が楽しみながら主体的に即興で話す活動に取り組むことができるようにすることが大切である。

 
 

(イ) 日常的な話題について,事実や自分の考え,気持ちなどをまとめ,簡単なスピーチをする活動。

 この事項では,第2の1(4)「話すこと[発表]」

イ「日常的な話題について,事実や自分の考え,気持ちなどを整理し,簡単な語句や文を用いてまとまりのある内容を話すことができるようにする」

に関連し,学校生活や趣味,週末や長期休暇の出来事や計画などの生徒の身近な暮らしに関わる様々な話題について,事実や生徒自身の考え,気持ち,大切にしていることなどを,話し手として伝えたい順番や聞き手に分かりやすい展開や構成を考えて,それらをメモにするなどして整理し,英語で「簡単なスピーチ」をする活動を示している。

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 活動に当たっては,スピーチをすることで自分のことをよりよく知ってもらったり,興味・関心のある事実とそれに対する考えや気持ちなどを伝えることで聞き手に考えるきっかけを与えたり,行動を促したりするなど,スピーチをする目的を明確にしておくことが大切である。

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 また,スピーチとして表現するためには,羅列的に事実を表現したり,事実と考えを整理することなく思いついた順番に表現したりすることがないように,話し手として伝えたい事実や考えなどの順番を考えたり,話のテーマに沿った展開になっているかを確認したりする必要がある。

 具体的には,ブレインストーミングで構想を膨らませた後に,スピーチの概要や大筋を箇条書きにしたり,展開を図式化するなどして整理する時間を取ったりすることなどが考えられる。

 また,ペアでスピーチの練習をする際などに,分かりづらかった表現を確認したり,聞き手に分かりやすい語句や表現を調べたり考えたりする活動を取り入れて,聞き手に配慮したスピーチになるように指導する必要がある。

 さらに,スピーチをする際には,アイコンタクトや姿勢,表情などに加えて,聞き手に問いかけたり,問いかけた後に考える間を取ったりすることにより,コミュニケーションとしてのスピーチとなるよう留意しなければならない。

 
 

(ウ) 社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことから把握した内容に基づき,自分で作成したメモなどを活用しながら口頭で要約したり,自分の考えや気持ちなどを話したりする活動。

 この事項では,第2の1(4)「話すこと[発表]」

ウ「社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことについて,考えたことや感じたこと,その理由などを,簡単な語句や文を用いて話すことができるようにする」

に関連し,環境問題や人権問題などの「社会的な話題」に関して聞いたり読んだりして得た知識や情報をメモにしたり図式化したりした上で,その内容を要約して話したり,それらに対する自分の考えや気持ちなどを話して伝えたりする,複数の領域を統合して行う活動を示している。

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 キーワードを書いたり,書いたキーワードや語句を枠や矢印を用いて図にしてつないだりするなどのメモの取り方についても指導することが大切である。

 その際,聞き取りや読み取りのためのメモではなく,例えば,「内容を口頭で要約して伝える」や「自分が一番印象に残った内容や興味をもった情報を伝える」などの目的に応じたメモとなるように,複数のメモを比較させたり,よくできているメモを例示してどのような点が優れているかを話し合ったりすることや,一度発表した後で,メモを修正したり生徒同士でメモを共有したりする工夫も考えられる。

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 「口頭で要約」する言語活動では,一律に要点をまとめるだけでなく,生徒一人一人の興味・関心や考えに応じて焦点を当てたい部分を選択してまとめたり,聞いたり読んだりする英文を分担したりなどすることにより,互いが話す英語を聞く必要性や意味がもてるような活動にすることも必要である。

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 「自分の考えや気持ちなど」を話して伝える言語活動では,聞いたり読んだりしたことについてなぜそのように考えたのか,感じたのか,簡単な理由や根拠,例示などを伝えることが大切である。

 そのためにも,様々な言語活動において,自分の考えや気持ちなどを述べる際には,理由を考えさせたり,生徒の発話に対して教師が理由を尋ねたりする活動も継続的に行っていかなければならない。

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 さらに,発表して終わりにするのではなく,発表の内容や様子を振り返る機会を設けることにも留意が必要である。

 教師は,発表の内容や構成,表現などについてよくできていた点を賞賛するとともに,具体的な助言を与えるなどして生徒自身が新たな課題を把握し,こうした言語活動の積み重ねを通して,考えたり感じたりしたことをより適切に表現できるようにする必要がある。

 
 
 
 
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