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(ア) 書かれた内容や文章の構成を考えながら黙読したり,その内容を表現するよう音読したりする活動。

 この事項は,第2の1(2)「読むこと」

ア「日常的な話題について,簡単な語句や文で書かれたものから必要な情報を読み取ることができるようにする」,

イ「日常的な話題について,簡単な語句や文で書かれた短い文章の概要を捉えることができるようにする」及び

ウ「社会的な話題について,簡単な語句や文で書かれた短い文章の要点を捉えることができるようにする」

の全てに関連している。

 

 ここでは,黙読と音読の二つの読み方の指導について示している。

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 黙読は声を出さずに読むことであるが,読み手が自分に合った速度で読むことができ,確認のため繰り返して読んだり,前に戻って読み返したりすることで柔軟な読み方をすることができる。

 黙読の指導に当たっては,このような特徴を十分に生かすようにすることが大切である。

 その際,文章全体を通してどのように物語や論述が進んでいるのか,どのように話をまとめているのか等の文章の構成を意識させることが大切である。

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 一方,音読は,黙読とは異なり,声に出して読むことであり,書かれた内容が表現されるように音読するためには,説明文,意見文,感想文,対話文,物語などの意味内容を正しく理解し,その意味内容にふさわしく音声化する必要がある。

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 声に出して読む必然性のある活動として,読み聞かせやアナウンス,ニュースなどが考えられる。

 発音・アクセントの正確さとともに,間の取り方等を考えながら,相手に伝えるために読むという活動は効果的である。

 また,対話文やスキット等においては,登場人物らしく強く読んだり,弱く読んだり,声の大きさを変えて読んだり,読む速さを変えたりするなどして,喜び,悲しみ,怒りなどの感情を豊かに表現し合ったりすることも効果的である。

 音読の指導に当たっては,単なる練習としての音読にとどまることのないよう,指導者も学習者も,書かれた文章の本来の目的を確認した上で,そもそも音読することがふさわしいのか,ふさわしいとすればその音読はどのような目的で行われるのかを明確に意識することが重要である。

 さらに,学習の段階や言語活動の流れの中で,音読することの目的や意義を教師も生徒も意識する必要がある。

 
 

(イ) 日常的な話題について,簡単な表現が用いられている広告やパンフレット,予定表,手紙,電子メール,短い文章などから,自分が必要とする情報を読み取る活動。

 この事項では,第2の1(2)「読むこと」

ア「日常的な話題について,簡単な語句や文で書かれたものから必要な情報を読み取ることができるようにする」

に関連し,相手に情報を伝える手段である広告やパンフレットなどから,「自分が必要とする情報」を読み取る活動を示している。

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 指導に当たっては,「日常的な話題」に関して,できるだけ現実に近い場面を設定するとともに,逐語的な読みから脱却し,自分が必要とする情報を捉えさせることが大切である。

 例えば,簡単な語句や短い文で書かれたスポーツクラブのパンフレットを複数示し,自分が通うことのできる曜日に自分が体験したいスポーツを実施しているクラブはどれなのかを探させるなどの活動が考えられる。

 読み手として主体的に考えたり,判断したりしながら理解していくことが必要である。

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 また,この事項は,小学校の外国語科の「読むこと」の言語活動(ウ)「日常生活に関する身近で簡単な事柄を内容とする掲示やパンフレットなどから,自分が必要とする情報を得る活動」を発展させたものである。

 したがって,生徒が小学生の時にどのような教材を使って当該活動に取り組み,どの程度の情報を得ることができるようになっているかを把握して指導に当たるよう留意する必要がある。

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 なお,ここでは「自分が必要とする情報」,後述する(ウ)では「概要」,(エ)では「要点」など,「読むこと」においては,目的に応じて様々な読み取り方を指導することが大切である。

 
 

(ウ) 簡単な語句や文で書かれた日常的な話題に関する短い説明やエッセイ,物語などを読んで概要を把握する活動。

 この事項では,第2の1(2)「読むこと」

イ「日常的な話題について,簡単な語句や文で書かれた短い文章の概要を捉えることができるようにする」

に関連し,「日常的な話題」に関する「短い説明やエッセイ,物語など」の文章全体を読んだ上で,時系列に情報を整理したり,書き手が伝えたいことの大まかな内容などを把握したりする活動を示している。

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 指導に当たっては,学習者のレベルに合ったまとまりのある文章を最初から最後まで通して読む機会をできるだけたくさん設定することが必要である。

 この際も,逐語的な読みから脱却し,意味のまとまりごとに英文を捉えさせることが必要である。

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 例えば,諸外国の中学校生活を紹介している短い文章を読む際に,それぞれの情報の関係を示す接続詞に注目させながら文章の流れを理解するためのキーワードを拾わせ,全体としての内容を数文の英語でまとめさせたりするなどの活動が考えられる。

 また,友人や教師が休日を過ごした中で感じたことなどのエッセイを読む際には,出来事を時系列に沿って整理させ,どんな内容を伝えようとしているのかを絵や簡単な英語で表現するなどの活動が考えられる。

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 また,これらの活動を取り入れる際には,ペアやグループになり,読み取れたことについて生徒同士が考えを交流するなど,学習形態の工夫をすることも大切である。

 
 

(エ) 簡単な語句や文で書かれた社会的な話題に関する説明などを読んで,イラストや写真,図表なども参考にしながら,要点を把握する活動。

 また,その内容に対する賛否や自分の考えを述べる活動。

 この事項では,第2の1(2)「読むこと」

ウ「社会的な話題について,簡単な語句や文で書かれた短い文章の要点を捉えることができるようにする」

に関連し,「社会的な話題」を扱った文章を読み,「イラストや写真,図表」など,社会生活で使われる様々な形式の視覚情報なども参考にしつつ,書き手が伝えようとしている「要点」を把握する活動を示している。

 また,こうした文章を読んだ後に,読み取った内容についての賛否や感想,意見やその理由などを述べることの大切さについて示している。

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 指導に当たっては,(ウ)の活動を通して身に付けた概要を把握する力と関連付け,文章全体としての構成や論理の展開を押さえさせた上で,読む目的に応じた要点を把握させることが大切である。

 その際,収集・整理した複数の情報を取り出して総合的に判断し,内容に対する感想や賛否,自分の考えなどを話したり書いたりして表現するなど,要点を把握するだけで終わるのではなく,領域間の統合的な言語活動を工夫することが大切である。

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 例えば,地球温暖化などの環境問題に関する説明文を読み,イラストや図表なども参考にしながら筆者の主張を数文でまとめた上で,自分ができることなどについてペアやグループで尋ね合ったり伝え合ったり,さらにそれを簡潔に書いて表現する活動へと発展させたりすることなども考えられる。

 
 
 
 
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