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(ア) 趣味や好き嫌いなど,自分に関する基本的な情報を語句や文で書く活動。

 この事項では,第2の1(5)「書くこと」ア「関心のある事柄について,簡単な語句や文を用いて正確に書くことができるようにする」に関連し,自分について相手に理解してほしい情報を,適切な語句や文を用いて書く活動を示している。

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 ここでの「自分に関する基本的な情報」は,目標に挙げた「日常的な話題」や「関心のある事柄」の具体的な例である。

 特に例示した「趣味や好き嫌いなど」のように,自分が好きなことや嫌いなこと,日常的に行っていることや過去の行動などに関する事柄について,生徒が自己紹介を行ったり,学校や家庭での生活,休日の過ごし方などについて話したり,将来の夢について語ったりするなどの言語活動を経て,簡単な語句や文を用いてその内容を書く活動に取り組むことが考えられる。

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 「書くこと」が苦手な生徒には,何をどのように書けばよいかを指導する必要がある。

 例えば,日頃から,自分の考えや気持ちをペアやグループで簡単な語句や文を用いて口頭で伝える活動をした後に,その内容を書いてまとめる,といった言語活動を設定することが考えられる。

 また,日常生活においては,話す内容をメモとして書いたり,簡単な英語で書き表したりした後に,その内容を相手に口頭で伝えることもしばしば起こるため,「話すこと」と「書くこと」の順序についてバランスをとりながら指導に当たることに留意する。

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 実際に書く活動を行う前には,手本となるような文章を数多く提示し,その表現を活用したり入れ替えたりしながら書き方を学ばせた上で,その後に自分の力で書くことができるようにするといった段階を踏むことが大切である。

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 「書くこと」におけるつまずきには,綴りや語順,文法,語彙だけでなく,発想や情報整理,文章構成など,様々なものが見られる。

 小学校で慣れ親しんだ語句や表現を用いて,英語の書き方の規則や語順を意識させるとともに,生徒一人一人をよく見取り,個の習熟度に応じて,ヒントを示したり,辞書の使用を促したり,直接的・間接的に誤りの修正を行ったりすることが大切である。

 また,学習集団全体に共通する語法や文構造等に関する誤りについては,機会を捉えて説明し直し,自分が書いたものを修正させるなどの手立てを通して,徐々に正確に書けるように指導する。

 
 

(イ) 簡単な手紙や電子メールの形で自分の近況などを伝える活動。

 この事項では,第2の1(5)「書くこと」

イ「日常的な話題について,事実や自分の考え,気持ちなどを整理し,簡単な語句や文を用いてまとまりのある文章を書くことができるようにする」

に関連し,受け手を意識し,状況設定を明確にした上で,自分の考えや気持ちなどが伝わるように文章を書く活動を示している。

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 ここでは,特に,生徒が関心をもっている身近な話題や生徒の体験などと関連付けて扱うなどして,意欲的に書く機会を増やす工夫を行うことが考えられる。

 具体的には,季節の挨拶状,ホームステイにまつわる手紙,家族や親戚,友達などに自分の近況を伝える手紙,旅行先からの手紙や葉書,ファンレターなどに加え,留守番電話などの伝言を聞いてその返事を電子メールで送ることや,関心のある話題について,新聞の投稿欄などに投稿することなどがある。

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 このように,様々な形式により,自分の考えや気持ちなどが伝わるように文章を書くためには,時間の確保や,メールなどの操作・練習のためのICTを活用した活動の充実が必要である。

 
 

(ウ) 日常的な話題について,簡単な語句や文を用いて,出来事などを説明するまとまりのある文章を書く活動。

 この事項では,第2の1(5)「書くこと」イ

「日常的な話題について,事実や自分の考え,気持ちなどを整理し,簡単な語句や文を用いてまとまりのある文章を書くことができるようにする」

に関連し,日常的な話題について,「出来事など」の説明をまとまりのある内容で書く活動を示している。

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 ここでの「日常的な話題」としては,学校行事や部活動,休日の過ごし方など,具体的で関心が高く,想起しやすいものを主に設定し,簡単な語句や文を用いて,日記などの形式によって英文を書く機会を増やす工夫を行う。

 「出来事など」の説明は,例えば1日の日課や先週末にしたことなどが考えられるが,起こった出来事を書く場合は,時間を追って順序よく描写できるような力を付けることをねらいとする。

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 指導に当たっては,「出来事などを説明する」ために必要な人物,場所,活動などを描写する基本的な語彙や表現に親しむ機会を,「聞くこと」,「読むこと」及び「話すこと」の活動を通して多く与える必要がある。

 そしてそれらを「書くこと」の活動につなげていく指導が大切である。また,単に出来事を描写するだけではなく,「書いて伝える」ことに対する意欲を高め,求められている内容を適切にまとまりよく書くための工夫について指導する必要がある。

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 そのためには,

「書きたい出来事を選ぶ

−出来事の描写や説明を
  簡単な英語で書く

−口頭でのやり取りや発表などを通して,
  伝えるべき内容を深める

−まとまりのある文章にしてみる」

といったように,それぞれの言語活動を関連付けた段階的な指導を行うことが有効である。

 具体的には,例えば,

「@ 書き手は,
   テーマや話題に関する
   情報やキーワードを,
   順序を意識しながらメモする。

 A そのメモを基に,
   簡単な語句や文を用いて書き表す。

 B 書き表したものを,
   ペアやグループになって
   聞いてもらったり
   読んでもらったりする。

 C 聞き手又は読み手は,
   その内容について
   質問したり,コメントを述べたりする。

 D 書き手は,
   やり取りした内容を参考に
   推敲する。」

などの段階的な指導が考えられる。

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 「出来事などを説明するまとまりのある文章」を書くためには,キーワードを整理して書くことや,5W1Hを意識しながら全体の構成を考えて書くこと,文と文のつながりを示す語句を効果的に用いながら書くことができるように指導することが大切である。

 また,まとまりのある文章を書くことに慣れていない生徒には,その生徒との直接的な対話によって書きたい内容を引き出しながら,書く活動への抵抗感を減らしたり少しずつでも英語でその内容を表現したりできるよう支援していくといったことにも留意する必要がある。

 
 

(エ) 社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことから把握した内容に基づき,自分の考えや気持ち,その理由などを書く活動。

 この事項では,第2の1(5)「書くこと」

ウ「社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことについて,考えたことや感じたこと,その理由などを,簡単な語句や文を用いて書くことができるようにする」

に関連し,社会的な話題に関して生徒が聞いたり読んだりした内容に主体的に関わりをもち,それを踏まえて,内容に関する感想,賛否やその理由などを書く活動を示している。

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 ここでは,話題となっている内容を聞いたり読んだりして理解し,それを基に思考・判断したことについて,自分の考えや気持ちなどを主体的に伝え合う言語活動を設け,その発話内容を整理しながら書くといった領域間の統合を図ることが重要である。

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 ここでの「社会的な話題」としては,環境問題,世界情勢や平和に関する様々な状況,人権問題,科学技術の発達,自然との共存,社会貢献などを扱うとともに,関連する他教科等での学習内容を活用することも考えらえる。

 それらを話題として実際の生活において必要な場面を想定した言語活動を通して,自分の意見や感想などを深め,「書くこと」に取り組む必要がある。

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 具体的な形式としては,教科書に取り上げられている話題に関する自分の意見や感想などを,スピーチの形式や,新聞やホームページなどへの投稿文の形式で書いたり,ディベートの立論形式に則って書いたりすることが考えられる。

 その際は,例えば,

「@ テーマや話題から想起される
   アイディア
   についてのマッピングなどを利用し,
   思考や情報の整理を行う。

 A その内容について
   ペアやグループで,
   相互に説明したり質問したりする。

 B 個に戻り,
   それぞれの考えや気持ちを
   発展させたり,
   深化させたり,
   情報を追加したりして,
   マッピングに加筆する。

 C マッピングに書き出した項目のうち,
   内容的につながりのあるアイディア
   を組み合わせ,
   考えや情報の整理を
   再度行って書く。」

など,一連の活動を順序よく組み合わせることが考えられる。

 
 
 
 
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